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Sonido SFC1202 ~その1

昨夜「くり抜きギターへの想い~その3」というのを書こうと思っていたところ、、、山本さんからメールが届きました。

-----------------------------------------(抜粋)

鈴木さん こんばんは。
試作ギター今日発送しましたので明日配達になります。
~中略~

このギターは長い間考えていた燻煙材料を使用しています。その出来栄えが良く分からないので今日中村さんに来ていただき試奏し、感想を聞いてある程度の納得のできる物でしたので送ります。
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燻煙材料??
で、くり抜きですか?
一晩中ビックリしていました。


で、今日届きました。

これです。

20120311a


トップは、スプルースでしょうか?
できたてホヤホヤの色白です。
でもマッチロケではなく、ペールオレンジ(昔でいう肌色)に近い色です。
塗装してあるのだと思いますが木肌をモロに感じます。
色白でふくよかな小娘のようないでたち、さらさらとした心地よい手触り。
これは、、、、og3たまりません。

20120311b

マホガニーイロコ(の誤りです。山本さんからご指摘がございました。)だそうです。
この厚みでくり抜きです。
板材にしたら何本できるのでしょう?
贅沢極まりない作りです。
ここが燻煙材料なのでしょうか?
確かに美味しそうな香りがします。

20120311c

ボディ(サイド&バック)は、イロコ4本で構成され、くり抜かれています。
バインディングは、メイプル?でしょうか?
とてもお洒落です。

いつぞや中村さんに聞いたお話、、、
無垢材だと歪みや割れが出て、強度も高くないこと。
ピアノの調律士である中村さんは、いろいろと良く教えてくれました。
グランドピアノの大屋根も細い材を張り合わせて構成されていると。
木の繊維を切ることで歪みや狂いを押さえているということです。
木の合わせ方一つで100年以上経っても大丈夫なんだそうです。
これは、経験と知識と技術がなせること。
深いです。


20120311d

これがサイド内側に掘ってある紋。

モノというのは、それぞれの固体振動があります。
わかりやすいところで言えば木琴とか鉄琴とかね。
ギターは「箱」なのでその容積に応じた固体振動というのがあるわけです。
定在波というらしいです。
いわゆる「箱鳴り」というやつ。
ギターの中の空気は、ある一定の振動をします。
ある音がやたらと良く出るし、全く響かない音がある、、なんていう経験ありますよね?
ギター内の定在波をこの紋で乱反射させ、上手く分散させながら綺麗な倍音作ろうというのが、この紋です。
こんな手間をかけてできたギターは、世界中探してもありません。
何度もくどいとようですが、これはくり抜きです。

20120311e


この下というか裏は、いわゆる鉄弦のXブレイジングではありません。
竹ギターとおなじ放射状になっています。
ダイナミックブレイジングというのでしょうか?
クラッシックギターのファンブレイジングとも違います。
のっけからものすごくでかい音がしてビックリしました。
出来立てホヤホヤという感じがしません。
かといって出音の頭が汚くつぶれたようなうるさい音ではありません。
朗々と鳴ります。
燻煙材料の妙でしょうか?

出音は、以前紹介したKleinに極めてよく似ています。
爪弾いていると気がつきません。
山本さんと中村さんのギターは、我が家にいる借りてきた高級な猫と違い、容赦なくガンガン弾かないと製作者本人から叱られます。
なので、心置きなく弾きます。
ある程度強く弾くと、歯切れが良く、迫力のある音が出てきます。
これは竹ギターも同じ。
それは単に音量ではなく、音圧がある音として耳に届きます。

20120311f


もうこのネックに関しては、何も書くことはありません。
メイプルの積層です。
綺麗です。
ただのメイプルじゃないはずです。
このネックシェイプは、私の左手を自由に解放してくれる魔法のカタチです。




20120311g

Sonidoと彫られた渋いロッドカバーが素敵です。
指板下まで入っているヘッドの付き板がそこはかとなくカッコイイ、大人の仕業。
ピントが合ってませんが、ナットを見てください。
1弦から6弦に向かってナットが高くなっているように見えます。
かといって弦高が高いわけではありません。
溝が深く掘られ、ナットと弦の接触面積を増やしています。
振動が伝わりやすくなるということだと思います。
これもいままで見たことが無いナットの形状ですね。

ともあれ初日は、こんな感じでしょうか。
箱から取り出し、弾き始めるとどんどん変わる音。
外気から室温に戻り、振動が伝わり始めると、音が生き生きしてきます。
出来立てなのでまだ音は若く、こなれている感じはありません。
しかし新品とは信じられないくらいの芯のあるでかい音。

3~5弦は、とても明るく引き締まった鳴りで、感銘を受けました。
プレーンの1~2弦は、まだ音に伸びが感じられません。
6弦は、もうちょっと、といった感じが否めません。
これは、時間が解決するでしょう。
寝食を忘れて弾かねばなりません。
このギターは、もっと化けるはずです。


※業務連絡
山本さん、まことに申し訳ございませんが、このギターの詳細を教えてください。
メールをお待ち申し上げます。



あれから1年。
2時46分に黙祷しました。
一人一人の悲しみがいろいろな形で伝わってきます。
その悲しみを、、、、再び元気にするためは、、、、

お金かもしれません。
土地かもしれません。
暖かい家かもしれません。
仕事や学校かもしれません、
友達かもしれません。
野球やサッカーかもしれません。
美味しい食べ物やお酒かもしれません。
歌や音楽かもしれません。


ギターかもしれません。


ここで私が何かを伝えることで、ちょっとは元気になる人がいるかもしれません。


そんな命の使い方で生きて行こうと、あらためて感じた日でした。



つづく

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コメント

すごいギターですね

クリヌキ

本当にこの厚さなら何枚 板とれるのでしょう?

先日の日記のマックファーソンギター
まさにアメリカンな発想とおもいましたが
日本でもスゴイギターを作られる方いらっしゃるんですね!

投稿: ササン | 2012年3月11日 (日) 午後 10時35分

ささんさん>>
一昨日、山本さんからメールを頂きました。
ここには、書けない企業秘密?がたくさんありますね。
詳細は、追ってUPいたします。

投稿: og3 | 2012年3月13日 (火) 午前 08時34分

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