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2013子キャン回想4

つぶらな目をした5年生の彼は、同じようにバンガローの軒先で弾いていた。
SKSにあるYAMAHAのドレッドノートは、彼にはでかすぎる。
身長138cmだそうだ。
座って弾いているとボディから顔や手足がはえているように見える。
そこには、子どもたち、大人までもが集まっていた。

「ほれ、使えよ」
とピックを渡す。
5年生にしては、けっこう音にボリュームがある。
荒削りだが、人を集めるような響きがある。

あ~もうとっくに忘れてたなぁ、こんな音。
わたしもちょっと初心に帰る必要がありそうだ。

彼の左手が「F」を押さえたところでどよめきがおきた。
ギターを志した者は、だいたいここでつまづくことになっている。
彼は、全くつまづいていなかった。

小さな手。
おせじにも長い指とは言えない。
どちらかというと不恰好な手だ。
私の手をスケールダウンしたような、、、、、

お父さんがエレキを弾いていてバンドを組んでいると言う。
教わったのかな?
ネック裏の左手の親指は、まるでお手本のような形。
だからコードを押さえた形に無理が無い。
お父さん、かなりの達人か?
それとも本能で弾いているのか?

小学生の時を思い出そう。
特に鍛えていなくても、かけっこがやたら早いヤツ、いたよな。
やたら泳ぎがうまいヤツとか、やたら力が強いヤツとか、やたら食うのが早いヤツとか。
だからやたらギターがうまいヤツがいてもおかしくない。

こういう子どもは、苦も無く弾けるから、教えてやるとどんどんのびる。
しかし、やがて幼心は天狗になり、人よりできるがゆえ、飽きるのも早い。
あーだこーだと能書き、薀蓄をたれるより、美味しいエサを背中にぶらさげて前を歩けば険しい道もついてくるのだ。

ちょっと貸してみ~
これ見よがしに弾いてやる。

「おれ、こーゆーのやりたいんだよ、こーゆーの。」
いわゆるフィンガーピッキングのことだ。

それから4日間、朝も昼も夜もつきまとわれた。
四六時中話かけて来る。
ピック貸せ、ギター弾け、カメラ貸せ、、、、しまいにゃ車を運転させろ、、、、、
彼の好奇心は、とどまるところを知らない。
しかし私は、いちいち付き合わない。
背中を見せて前を歩く。

「おい、12月(12の誕生日. 作詞;武藤たづる/作曲;いずみたく)って知ってっか?」
「なにそれ?」
「子キャンの最後にみんなで歌うんだよ」
「ふ~ん」
ダンボールの切れっぱしにコードを書いてやる。
Fが弾けるのにDmは、初めてらしい。
れんじゃ→といっしょに歌ってやる。
「これ弾ければ、お前ヒーローになれるぜ」
彼の目つきがちょっと変わった。

つづく~

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コメント

og3さん、こんばんわ。
毎年、この夏の子キャンの記事は楽しみにチェックしてます。
子キャンに限らずですが、子ども達の取り組みや大人達の関わりなどを見るにつけ、佐倉という町の地域力?を感じます。
さて、5年生のギターキッズ、このあとどうなるのか、
もう楽しみで。。ワクワクして次のお話を待ってま~す。
おっと、失礼。(笑)

Toshi

投稿: Toshi | 2013年8月16日 (金) 午後 07時32分

Toshiさん>>
佐倉市は、こういった活動が盛んな街です。
でも普通に暮らしていたら気が付かないと思います。
気がついたところで、そこに入ってゆくかどうかは、その人の意思なんですよ。
だから、そういう意思をもった人が多いんでしょうね。

で、、まさか、、子きゃんでギターのネタを書くとは夢にも思ってませんでした。

投稿: og3 | 2013年8月18日 (日) 午前 02時12分

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