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2017年6月

Tokyoハンドクラフトギターフェス2017~その1

なかなか踏ん切りがつかないまま時間だけが過ぎてしまった。
というのも、はっきり言ってしまえば、これから新たなギターを手にする意欲が無いのだ。
意欲?という表現で良いかどうかは不明だが、、

例えば競技の世界

車のレースであれば、どんな高性能の車であっても、なくても、とにかく早いヤツが一番である。

イチロー選手と同じバットを手に入れたところで、3042本のヒット(2017年6月3日現在)を打てるわけでもなかろう。

レースで勝った名車を持つ、あるいはイチロー選手と同じバットを手に入れるというは、「所有欲」を満たすとことで、本来とは別な意味なのだと思う。
希少価値の高い物を手に入れることで精神的に満足するのだ。

そして満足にはキリが無いので、収集したり、また違うものを求めて買い替えたりする。

ある意味正しく、そうでないと文化が滅んでしまう。

新たなギターを弾いてみるということは、何なのか?

こんなことを書き始めると、苦情がきそうだ。
老いぼれてずいぶんとクドくなったなぁ。
つべこべ言わないで弾け!

なんてね。

20170603a

これは、山本さんの竹ギター
見ただけでは、よくわからない。

竹を細い短冊状にしたものを膠で接着して板状に、それを2層にしたものをくり抜いてトップとバックを作り、合わせてある。
そして塗装は漆。

膠は温度が低くなると硬化する。
竹の短冊を張り合わせる作業にはかなりのスピードが必要だ。
しかし山本さんは、私より二回り上の子年。
それがすでに追いつかなくなってきているが、かまわず進む。
気が遠くなるような作業である。
「もう、超えていますよ」
と、一緒に来ていたお弟子さんの高須さんがつぶやく。

高須さんとは、初対面だが互いの話がすぐ理解できる。
またひとつ、人の縁の素晴らしさを知った。

20170603b

サラサラと気持ちよい。
ブレージングが一切ないので、竹でできた空間の音がそのまま顔の前、つまり耳元へ響いて出てくる。
けっして大きくない、ささやくような音だ。
比べるギターがどこにもないので表現しにくいが、極めて上品で上質な鳴りである。

地味だけど色っぽい。
さりげなく、しとやかな浴衣姿。
のような印象である。

20170603c

こちらは山本さん定番のイロコ。
となりの竹と同型である。
以前お借りしていたエレキギターのアコースティック版。
竹に比べてふくよかな音。
腕におぼえのある熟達者がJAZZを奏でたら似合いそうだ。

どちらも大きなステージで演奏する類のギターではないと思う。
自宅でゆっくりと、その魅力を堪能する楽器だ。
後日メールを頂戴した。
「今後の課題はPUで鈴木さんが良いと思われるPUがあれば教えてほしいと思っています。」と記してあった。
頭を悩ます、、
普通のシングルやハムバッカーだと、どこにでもありそうな普通の音になってしまいそうだ。
ここまで異彩を放つ楽器であれば、それ相当なPUを考えねばなるまい。
弦振動だけではなく、胴鳴りだけではなく、、、
まだ返信にはいたっていない。

そしてこの2本、、
大変残念だと思うのは、テールピースとブリッジが市販の部品なのだ。
実にもったいない。
テールピースは、以前ここで見せていただいたヴァイオリンにようなタイプに。
ブリッジは、直接振動を伝えやすいシンプルな形に。
と、心より思う。

20170603d

そしてこれは、以前お借りしていたギターの弟分にあたる。
気になる部分がことごとく改善されている。
各弦のバランスもほど良く、音に輪郭があり、鳴りも深くなっている。
なんといっても残響が素晴らしい。
押弦の指を指板から放したくなくなる魔力がある。
これは、今、最も手にして弾きたい、そして欲しいと思うギターだ。

20170603e

そしてトラベラー。
燻煙され漆で仕上げてある。
こちらは既に完成されている気がする。
しかしながら我が家のトラベラーに比べると全然音が若い。
弾いてくれ!と言わんばかりである。

20170603f

最後に圧巻のくり抜きアコースティックベース。
気がついたらこれを離さない方がいました。
今日イチだ!
と叫んで、写真を撮っていらっしゃいました。
私も弦楽器との最初は、コントラバスでした。
これは、確かなウッドベース。
響きは、比類なきものです。

気が付くと2時間弱、山本さんのブースにおじゃましてました。

いろいろと貴重なお話が聞けました。
で、最後に「来年も来るから」と、、

え???

新たなギターを手にする意欲が湧いてきました。

今日は、久しぶりにブログをUPしました。
とても良い気分の誕生日です。

本日で57歳になりました。

つづく~

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