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2025年2月

Fender Japan Stratocaster ST54-900(1990年)

続く時は、続くもんです。
またもやFender Japan
Squier Precision Bass の次は、なんとStratocaster
(@_@;)

ヘッドだけお見せしますね。
ココだけでほとんどの方は、おわかりいただけると思います。
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依頼主によると、実家に置きっぱなしの放ったらかし子だったということです。
現場復帰を御希望とのこと。
とはいえ、ちゃんと音は出るし、弾こうと思えば普通に弾けます。

ただし、、
ビス類や金属製のパーツは、汚れたり、くすんだり、錆びたりしてます。
塗装は、やや軟化していて何とな~くベタつくし、、、
優しく抱っこしてナデナデするのはちょっとどうかな?って感じ(笑
依頼主は、と~っても綺麗好きな方なんだと思います。

なので現状の画像はここまで
m(__)m
今回は、もったいぶってます(爆

ということでバラします。
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はい!ご覧のとおり。
いつものように、ここで手が止まります。

「S」スタンプということは最上位機種ですね。
ネックデイトは1989年8月26日
「H」や「I」のスタンプや628?829?なる文字は、わかりません、気にしません。
確かな情報をお待ちいたします。

ということで1990年のカタログを漁ることに。

エレキギターの場合は、けっこう簡単にヒットします。
それだけ小僧が多かったということでしょうね(爆
「Fender Japan Stratocaster ST54-900」
あっさり判明しました。

そして驚きのスペック、、、

ボディはAlder
ネック、指板はご覧のとおりワンピースのMaple
21フレット 184R
スケール25.5 inch
ピックアップは、Fender USA製のST-Vintage x 3
コントロールポット、セレクタースイッチもFender USA製
ということは、中身ごっそり全てFender USA製 なわけです。

ほったらかし子は、オリジナル状態の半玉でした。
見たいでしょ?
見せてあげます。
水揚げしちゃってスンマセン
m(__)m

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ピックガードのネジだけ錆びが目立つから交換するはずが、、
インチサイズのオーバルヘッドなるヴィンテージ Fender純正
在庫無し、、、、
ピックガードは、オリジナル当時のペラッペラの塩ビなので、ぶ厚い3プライ用のネジを無理やり押し込んだら絶対割れるよね。
ということで、ネジ類ペグ他金属パーツは、1個1個全て手磨き。

そして、ここでギブアップ
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シリコンオイル漬けにして超音波洗浄機に入れてみたけど、固着していてウンともスンとも、何とも動かず
(T_T)
依頼主に一報入れてFENDER AMERICAN VINTAGE STRATOCASTER BRIDGE SADDLESを購入しました。
比べてみると刻印の向きが上下で違うんですが、おわかりの方は御一報ください。

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↑メッキの質感が若干違うのが残念、、、、

そして軟化して何となくべとついている塗装は、ご存知のラッカー塗装です。
ケース内での長期放置?で湿気た?
10日ほど自然乾燥したら、いい感じになったのでポリッシュで磨きました。
Freedom Custom Guitar GLOSSING POLISH
これはスゴく良い!超おすすめです!

ここから先は内緒(笑
Stratocasterという楽器は、演奏する人の数だけ調製方法やセッティングがあります。
それは、全て正解です。
自分で弾きながら、ちまちま調製して、良し!コレだ!と思ったところで終わりにしました。
依頼主は、とても喜んでいました。
それも一つの正解かも知れません。


組み付け前の画像をUPして、この記事を終わります。

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Squier Precision Bass by Fender Made in Japan(1983年)

類は友を呼ぶと言いますが、まさしくそんな感じのog3ち。
入れ替わりに我が家へやってきました。

ご覧の通りすでに半バラです。
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前のと同様に現場復帰を御希望でありますが、今回のは電気系なので動揺します(笑

で、よく見ると、、、、
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コレってどこかの遺跡から発掘されたの?ってくらい、、、
錆びてる、カビてる、腐ってる
という三重苦。
ポッドにいたってはビクとも動きません(T_T)

ここまで来たら全バラだろ~
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って、おいおい、きつくも緩くもなく、すぅ~っと抜けた。
まるで桐箪笥の引き出しのような気持ち良さ。
比べちゃイカンが、前のとは雲泥の差だろ。
日本のクオリティって凄いな~
と感動するが、、、

おや?
ちょっと待て!
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ポケットにDスタンプ
ネックDateは1982年12月11日
シリアルJV=Japan Vintage

ヤバイ!
フジケンの初期ものだ!
と、冷や汗かいて、一旦手を止め、調査に入る。

Fender Japanに関しては、言わずもがな。
周りにたくさんの信者がおりますので、下手なことを書くと多くの友達を失いかねないし炎上するのでやめます(爆
でもこの個体のことは、ちゃんと知らないとリペアできんぞ!
と思う、私は病気かも知れません。

半日かけて調べてみました。
1983年Fender Japan Vol2のカタログには無いカラーなんです。
ということはSPB50(¥50,000)では無さそう。
Fender公式のカラーチャートによれば「Candy Apple Red」
同年その後に発行されたSquier by Fender JapanのカタログにスペシャルカラーとしてCandy Apple Redが追加されていました。
ってことでSPB55(¥55,000)に確定ネ

なんだよなんだよ、せっかく調べたのに、たったの¥55,000かよ
ってバカにするのは日本人だけ(笑
海外での評価は、メチャクチャ高いんです。
ミントコンディションだったら当時の価格の3倍以上で取引されてます
ヤフオクのミソクソ相場がとても悲しいです。

気を取り直し、交換パーツを探すんですが、これ、一番面倒くさい。
ポッド、ノブ、ビス、ワッシャーの規格やらサイズまで。
ミリだインチだと、ノギスで測って気が狂う。
ザグリにちゃんと収まらなきゃならんし、ピックガードもきちんと取り付けたいよね。

そんなのに負けません、私は。
色々買ったさ!
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すでに終わった気分ですが、これからが始まり。

 バラし始めたら、嫌な雰囲気が、、、、
(;´Д`)
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見た瞬間、ピックアップカバーを外して洗面所に走ってました(笑
裏側がベトベトで、どう見ても人間の手脂じゃない。
何か甘い飲み物をこぼした跡のようです。
ウタマロをブっかけて歯ブラシでゴシゴシ洗いました。
あぁぁ~
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ハズキルーペと時間をかけてチョコチョコ削り落とします。
まだ茶色く錆びているように見えますが、真鍮製のプレートなのでコレは酸化皮膜です。
内部が保護されて強度の低下を防ぎます。
要するにコーティングと同じ。
十円玉を思い出しましょう。
信じられない人は、せっせと磨いてください。
きっとまた同じ色に戻りますから(笑
ちなみに私は無機分析化学研究室におりましたのよ(爆

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そして錆を取って磨いてピックアップカバーをかぶせると。
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どうだ!!!って感じに蘇りました。

ついでにビス類も全部磨きます。
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激落ちくんクロスは、とても優秀です。
仕上げは#1000のペーパーで。

こびりついたのも丁寧に落とします。
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ついでにボディも磨いて、ブリッジも分解、清掃ピッカピカ。
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誰がどう見ても、もうこんなの全部変えちゃえ~
ってなるんでしょうけど、ヤレたとはいえちゃんと現存してきたからには、ヤレ感のまま生かしてあげたほうが、ヤレた音に味があると思うのは私だけでしょうか?
このJVは厄年ですから(笑

電装系は、お手の物なのでチョチョイのチョイと交換。
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組付けちう。
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フレットと指板を磨いて。
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ついでに、、
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悩んだんですがペグには、手を付けませんでした。
遊びが多すぎてガタがきてます。
いずれ交換になるでしょう。
今回は、予算の関係で見送りです。
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ここで調査その2。
肉眼では、殆ど見えません。
というか、わかりません。
画像を作るのにスゴく苦労しました。
矢印のところに2本の線が僅かに見えます。
クリックするとでっかく見えますので、老眼の人はどうぞ。
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実は、このボディは3枚の木材(カラログによるとアッシュまたはアルダーとなっていますが木目が見えなないのでわかりません)からなる集成材なんです。
ブログをちょっと戻ってください。
ネックポケットにDのスタンプがありました。
フジゲン製のFender Japanには、ネックポケットに、S、A、B、C、Dと5種類のスタンプがあるとのこと。
それぞれがボディのグレードを表している、と。
もうちょっとググるとSquierはDとの画像を発見しました。
なるほど、それで安いのか~と?
なんだか可愛そうですよね。
集成材を作るということは、工数が増えるということです。
同じ工場、同じ工程の中で時間と人件費が、よけいかかっているのに安いというのは、けっこうお得ですよね。
ソリッドボディと並べて鳴らして、ブラインドテストをしたら分かる人は、絶対にいないと思います。
やっぱりSquierじゃぁな~~って思ってる多くの日本人は、気づいてください。
それ、ただの錯覚ですから。


最後にポートレート
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後ろ姿は色っぽいぜ!
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先日のジャベに比べると、柔らかく奥ゆかしい音です。
それは、ボトムを支える音。
好きなんですよね。
Gordon Edwards

いっぱいいっぱい弾いてもらえよ~~~
また会おうぜ!
じゃぁな~~

https://www.facebook.com/og3power


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Fender Jazz Bass(1976年 )

現場復帰させて欲しいという依頼で我が家にやって来ました
誰が見ても歴戦練磨のJazz Bass。
いたるところにリペアが施されており、長い長い物語がありそうな予感。
何故そうなったのかをじっくり語り合うことにしました。

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金属系のパーツはブリッジ以外全て交換されていました。

あたりまえですがペグは交換されています。
何故かヘッドが削られていて、再塗装してありますが、新旧の地色がよ~く分かる。
一体どんな理由がでそうしたのか?ハゲるほど考えても白髪頭なので全くわかりません。
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もちろんリフレットも(何度か?)されています。
面白いのは19フレットが僅かに高い。
う~んこれはスラップするのを見込んでの仕業か?

メイプネックなので再塗装してありますがやたら分厚く、塗装というよりも舗装といった感じ(笑
ブリッジは上げられるだけ上げてあるけど、弦高はほぼゼロといった状態。
ネックはやや逆反りだし、、、
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1974~5年から変更された3点止め。
ネックの色が違うのは再塗装したから?
賛否両論のマイクロティルトアジャストメント。
面白がってかなりイジられてます。
どう見てもネックの仕込みが変だし。
怪しい雰囲気がプンプンにおうにおう。

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も~こんなのバラして見るしか無いだろ。
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画像は、すでに清掃した後のものでゴメンナサイ。
グリスアップしてありました。
ただし、それが適正なのか過剰なのか分かりませんが、埃やゴミが付着していて見ただけで反吐が出るほど。
まぁセッティングも凄いことになっていたわけでして。
悩みどころ満載。
もう~いたたまれなくて撮ることなどすっかり忘れまてした。
プロショップだと超音波洗浄するんだろうけど、それをやったらメッキが剥がれて錆が出そうな雰囲気。
激落ちクロスなる超極細繊維(マイクロファイバー)の布で優しく拭き拭き。
ぶっちゃけこっちのほうが時間がかかるんですけどネ。

で、コレな
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笑える方は笑ってください。
知っている方は、わかっていると思いますが、3点止めのジョイントは精度が悪くガタつくので、経年で痩せた分、そのすき間にピックをちょん切ってシム代わりに貼り付けてありました。
いつどこで誰がこのリペアしたかは不明です。
これで7~80%くらいは、ネックが治まっているのが不思議。
日本人的に考えれば、コレを取っ払って新しくシムを作り、綺麗にやり直すと思います。
でもあと2~30%治せれれば良いわけです。
リスクとコストと手間を考えれば、そっちのほうが楽器の状態を維持できると判断。
og3的には後者を選びました。

ただし、、
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ネックのセンターと仕込み角を合わせるのに、どんだけ苦労したことやら。
ぶっちゃけこっちのほうが大変だったかもしれません。
それでも、やっちゃったさ。

ついでといっちゃ~なんですが
見るに見かねてブリッジも全バラ清掃。
弦高調製、オクターブチューニング。
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悩んだ挙句、トラスロッドはいじらないままで。
年月を経て形が変わったものなので、ちょっくらちょいと治るわけじゃない。
熱を加えたり、無理な力をかけても楽器が悲しむだけ。
弦を張ってテンションと時間をかけたら戻ると確信。
予想が当り約一週間ほどでドンズバに!
これは冥利に尽きる。

これで終わりかと思いきや。
現状はミディアム。
オーナーはライトをお望み。
というわけで弦を張り替えた後に調製を全部やりなおす。
これもリペア好きなog3のサガ(笑

でまた一週間、弾きながらちょこちょこ治してイジる。
全然嫌いじゃないぜ!
だからキリがなく、延々続く暇つぶしがてら楽しい毎日。
とはいえ、私的にはGoooDな弾き心地。
1976年製のFender Jazz Base
同じナチュラルカラーで1977年のはマーカス・ミラーが
そして1967年製のは、かの伊藤広規さんが愛用してます。
あぁ返したくない気分。

い~かげんで納品しろ!と催促の電話がかかってきた(爆
晩酌もソコソコ、迎えの車に乗って納品。

Untitled

プロ・アマ問わず、リペアにはこれといった正しいルールが存在しません。
そのオーナーがどういうふうに弾くか?でゴールが異なります。
弾くことを生業とするプロであれば、信頼性と精度の高いパーツへと交換するでしょう。
そうでない場合、希少価値を重んじて、出来る限りオリジナルを保ったままで置くのが良いと思われます。
とはいえ「木」なので置かれた環境で少しづつ状態が変化するはず。
毎日手に取り、通電して音を出し、弾き心地を確かめみるのが一番。

ネットをググると、このテの情報は山のように出てきます。
それは、全てリペアマンの主観によるもの。
例外にもれず、私も主観でリペアします。
それが正しいか否かは、誰も答えを持っていません。

オーナーがどれだけ満足するかは、、
楽器への「愛」だと思います。

https://www.facebook.com/og3power

 

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