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Fender Jazz Bass(1976年 )

現場復帰させて欲しいという依頼で我が家にやって来ました
誰が見ても歴戦練磨のJazz Bass。
いたるところにリペアが施されており、長い長い物語がありそうな予感。
何故そうなったのかをじっくり語り合うことにしました。

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金属系のパーツはブリッジ以外全て交換されていました。

あたりまえですがペグは交換されています。
何故かヘッドが削られていて、再塗装してありますが、新旧の地色がよ~く分かる。
一体どんな理由がでそうしたのか?ハゲるほど考えても白髪頭なので全くわかりません。
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もちろんリフレットも(何度か?)されています。
面白いのは19フレットが僅かに高い。
う~んこれはスラップするのを見込んでの仕業か?

メイプネックなので再塗装してありますがやたら分厚く、塗装というよりも舗装といった感じ(笑
ブリッジは上げられるだけ上げてあるけど、弦高はほぼゼロといった状態。
ネックはやや逆反りだし、、、
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1974~5年から変更された3点止め。
ネックの色が違うのは再塗装したから?
賛否両論のマイクロティルトアジャストメント。
面白がってかなりイジられてます。
どう見てもネックの仕込みが変だし。
怪しい雰囲気がプンプンにおうにおう。

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も~こんなのバラして見るしか無いだろ。
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画像は、すでに清掃した後のものでゴメンナサイ。
グリスアップしてありました。
ただし、それが適正なのか過剰なのか分かりませんが、埃やゴミが付着していて見ただけで反吐が出るほど。
まぁセッティングも凄いことになっていたわけでして。
悩みどころ満載。
もう~いたたまれなくて撮ることなどすっかり忘れまてした。
プロショップだと超音波洗浄するんだろうけど、それをやったらメッキが剥がれて錆が出そうな雰囲気。
激落ちクロスなる超極細繊維(マイクロファイバー)の布で優しく拭き拭き。
ぶっちゃけこっちのほうが時間がかかるんですけどネ。

で、コレな
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笑える方は笑ってください。
知っている方は、わかっていると思いますが、3点止めのジョイントは精度が悪くガタつくので、経年で痩せた分、そのすき間にピックをちょん切ってシム代わりに貼り付けてありました。
いつどこで誰がこのリペアしたかは不明です。
これで7~80%くらいは、ネックが治まっているのが不思議。
日本人的に考えれば、コレを取っ払って新しくシムを作り、綺麗にやり直すと思います。
でもあと2~30%治せれれば良いわけです。
リスクとコストと手間を考えれば、そっちのほうが楽器の状態を維持できると判断。
og3的には後者を選びました。

ただし、、
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ネックのセンターと仕込み角を合わせるのに、どんだけ苦労したことやら。
ぶっちゃけこっちのほうが大変だったかもしれません。
それでも、やっちゃったさ。

ついでといっちゃ~なんですが
見るに見かねてブリッジも全バラ清掃。
弦高調製、オクターブチューニング。
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悩んだ挙句、トラスロッドはいじらないままで。
年月を経て形が変わったものなので、ちょっくらちょいと治るわけじゃない。
熱を加えたり、無理な力をかけても楽器が悲しむだけ。
弦を張ってテンションと時間をかけたら戻ると確信。
予想が当り約一週間ほどでドンズバに!
これは冥利に尽きる。

これで終わりかと思いきや。
現状はミディアム。
オーナーはライトをお望み。
というわけで弦を張り替えた後に調製を全部やりなおす。
これもリペア好きなog3のサガ(笑

でまた一週間、弾きながらちょこちょこ治してイジる。
全然嫌いじゃないぜ!
だからキリがなく、延々続く暇つぶしがてら楽しい毎日。
とはいえ、私的にはGoooDな弾き心地。
1976年製のFender Jazz Base
同じナチュラルカラーで1977年のはマーカス・ミラーが
そして1967年製のは、かの伊藤広規さんが愛用してます。
あぁ返したくない気分。

い~かげんで納品しろ!と催促の電話がかかってきた(爆
晩酌もソコソコ、迎えの車に乗って納品。

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プロ・アマ問わず、リペアにはこれといった正しいルールが存在しません。
そのオーナーがどういうふうに弾くか?でゴールが異なります。
弾くことを生業とするプロであれば、信頼性と精度の高いパーツへと交換するでしょう。
そうでない場合、希少価値を重んじて、出来る限りオリジナルを保ったままで置くのが良いと思われます。
とはいえ「木」なので置かれた環境で少しづつ状態が変化するはず。
毎日手に取り、通電して音を出し、弾き心地を確かめみるのが一番。

ネットをググると、このテの情報は山のように出てきます。
それは、全てリペアマンの主観によるもの。
例外にもれず、私も主観でリペアします。
それが正しいか否かは、誰も答えを持っていません。

オーナーがどれだけ満足するかは、、
楽器への「愛」だと思います。

https://www.facebook.com/og3power

 

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